院長コラム

Director's column

冷房の部屋で咳き込む方へ。
エアコンと咳・喘息の関係&自宅でできる対策ガイド

5月から6月ころになると、「エアコンをつけると咳が出る」「冷房の部屋に入ると急に咳き込む」といったお悩みで、草ヶ谷医院を受診される方が増えてきます。もしかするとこれを読んでいるあなたも「エアコンのせいかな?」と気になっているかもしれませんね。

熱中症を予防するためにも、いまの日本の夏にエアコンは欠かせない大切なパートナーです。エアコンそのものが悪いわけではありません。ただ、使い方や室内環境によっては、咳や喘息(ぜんそく)が悪化する原因になってしまうことがあります。

今回は、なぜエアコンで夏の咳が出やすくなるのか、そして日常生活でできる対策について、やさしく解説していきます。

■ なぜエアコンを使うと咳が出やすくなるの?

エアコンを使い始めてから咳が気になる場合、いくつかの理由が考えられます。 

1.冷たい空気による気道への刺激

私たちののどや気管(気道)には、刺激をキャッチする小さなセンサーがあります。急に冷たい空気が入ってくると、このセンサーが「温度が急に下がった!」と感じ取り、体を守るための防衛反応として咳が出やすくなります。また冷たい空気を吸うと、気道にある血管が縮んで血流が悪くなり、粘膜のバリア機能が低下することも原因の一つです。

2.空気の乾燥

エアコンを使うと、どうしてもお部屋の空気は乾燥しがちになります。湿度が40%を下回ると、のどの粘膜がうるおいを失ってしまいます。気道にある粘液は、本来ゴミや異物をからめ取って外に出す役割をしていますが、乾燥するとその動きが鈍くなり、体は無理に咳の力で異物を追い出そうと頑張ってしまうのです。

3.エアコン内部のカビやホコリ

エアコンの中は結露によって湿気がたまりやすく、カビが好む環境が揃っています。お掃除が行き届いていないエアコンをつけると、内部にひそんでいたカビや、ホコリ、ダニの死骸などが風に乗って部屋中に舞い上がります。これを吸い込むことが、咳やアレルギーの原因になることがあります。

4.室内と室外の温度差

外はカンカン照りで暑いのに、室内はひんやり。この大きな温度差(寒暖差)も、のどや気道には大きな負担になります。急激な温度変化は気道を刺激し、咳が出やすくなる傾向があります。

■ 喘息や咳喘息の方がとくに注意したい理由

もともと気管支喘息や、ゼーゼーしないけれど咳だけが続く「咳喘息」をお持ちの方は、気道がとても敏感になっています。そのため、健康な方なら気にならないような少しの冷気や乾燥だけでも、咳のスイッチが入ってしまうことがあります。

冷たく乾いた空気は、気管支をキュッと縮ませてしまうため、息苦しさを感じやすくなります。また、気管支喘息や咳喘息の方の中には、カビやホコリ、ハウスダストに対するアレルギーを持っていることも多く、エアコンからまき散らされるアレルゲンを吸い込むことで、発作が誘発される可能性があります。

とくに風邪をひいているわけでもないのに、夜間の咳や明け方の咳が増えるのは、喘息や咳喘息のサインかもしれません。 「風邪はすっかり治ったのに、なぜか長引く咳だけが残る」「冷房の部屋に入るとどうしても咳き込む」といった場合は、ご本人が気づいていないだけで、喘息や咳喘息が隠れている可能性があります。

■ 自宅でできる!エアコンと上手につきあう対策

エアコンを使わないわけにはいきませんので、上手に使いこなす工夫をしてみましょう。

• 設定温度と風向きの工夫
外との温度差が大きくなりすぎないよう、外気温との差を5度以内に保てると理想的です。また、冷風が直接のどや体に当たらないよう、風向きを上や壁側に調整しましょう。サーキュレーターを使って部屋の空気を循環させるのもおすすめです。

• フィルター清掃と内部の乾燥
月に1回程度はフィルターのお掃除をして、カビやホコリが舞い散るのを防ぎましょう。また、冷房を使ったあとはエアコン内部に水分が残ります。使用後に送風運転や暖房運転をしばらく行うことで、内部を乾燥させ、カビの繁殖を抑えることができます。使い始めに窓を開けて換気をするのも良い方法です。エアコンの洗浄は、年に2回程度を目安に本格的に行うと、内部のカビ対策が万全になります。

• 室内の湿度に注意する
乾燥を防ぐため、湿度は50〜60%くらいを目安に保てると理想的です。加湿器を使ったり、濡らしたタオルを室内に干したりするだけでも違いますよ。

• 寝るときの冷えすぎに注意する
夜中から明け方にかけては気温が下がるため、エアコンをつけたまま寝ると冷えすぎてしまうことがあります。タイマーを使ったり、薄手の上着を着たりして調節しましょう。就寝時にマスクをするのも、のどの保湿と保温に役立ちます。

• こまめな水分摂取
のどをうるおすために、こまめに水分をとりましょう。

• 咳が続くときは市販薬だけで様子を見すぎない
市販の咳止め薬を飲んでもなかなかよくならない場合、無理に我慢して様子を見すぎないようにしてくださいね。

■ こんな症状があれば、早めに受診を

夏の咳だからといって、放っておくと悪化してしまうことがあります。次のような症状があれば、受診の目安です。

  • 咳が2〜3週間以上続いている
  • 夜間や明け方に咳で目が覚めてしまう
  • 呼吸をするとゼーゼー、ヒューヒューという音がする
  • 運動をしたときや、会話をしている最中に咳き込む
  • 毎年同じ季節になると咳が悪化する
  • すでに吸入薬を使っているのに、症状がよくならない、または悪化している
  • 発熱、血痰(血が混じった痰)、息苦しさ、胸痛、体重減少などがある場合

これらの症状がある場合は、他の病気が隠れている可能性もあるため、早めの受診が必要です。

■ おわりに:長引く咳はお気軽にご相談ください

エアコンは私たちの健康を守る大切なものですが、少しの工夫で、咳や喘息を悪化させないようにすることができます。まずは、できる対策から実践してみてくださいね。

もし、「咳くらいで病院に行ってもいいのかな?」と迷われている方がいらしたら、どうかご安心ください。草ヶ谷医院は、呼吸器内科・アレルギー科として、長引く咳や喘息、咳喘息、アレルギー性鼻炎などを日常的に診療しています。「咳だけだから」と遠慮する必要はまったくありません。

私たちのMissionは、「医療を通じて関わるすべての方の笑顔と元気に貢献する」ことです。不安な気持ちを抱えたまま過ごすより、どうぞお気軽にいらしてください。多くの場合、生活環境の見直しや、吸入薬などの適切な治療を組み合わせることで、つらい症状の改善が期待できます。

静岡市や清水区にお住まいで、呼吸器内科をお探しの方、エアコンによる咳でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。エアコンと上手につきあいながら、元気な笑顔で夏を乗り切りましょう!

 

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大石 敏弘医師
プロフィール

清水第八中学校、清水東高等学校を卒業後、浜松医大医学部に進学。

大学卒業後は、 静岡済生会病院、浜松医療センター、浜松医科大学医学部附属病院、島田市立総合医療センターを経て、再び現在静岡済生会病院にて地域医療に携わる。

糖尿病や甲状腺、高血圧・脂質異常症などの生活習慣病を専門とし、患者一人ひとりのライフスタイルに合わせた実践的な治療方針を重視している。

現在は当院に非常勤、そして静岡済生会内分泌科として勤務し、日々の診療にあたっている。

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