院長コラム
Director's column
RSウイルス感染症とは?
赤ちゃんだけでなく高齢者も注意が必要な理由
「RSウイルス」という名前を聞いたことはありますか?小さなお子さんを育てているご家庭では、耳にする機会があるかもしれません。
RSウイルスは乳幼児の呼吸器感染症の代表的な原因ですが、実は大人も感染し、特に高齢者や呼吸器に持病のある方では重症化することがあります。
今回は、RSウイルス感染症の特徴や症状、注意すべきサイン、予防方法について解説します。
RSウイルス感染症とは?

RSウイルス感染症は、RSウイルス(RSV)によって引き起こされる呼吸器感染症です。
生後1歳までに半数以上、2歳までにはほぼすべての子どもが一度は感染するとされています。ただし、一度感染しても十分な免疫が長期間続くわけではなく、その後も繰り返し感染することがあります。
健康な成人では、鼻水や咳、発熱など、一般的な風邪とほとんど区別がつかない軽い症状で終わることが多い病気です。一方で、乳幼児や高齢者、基礎疾患のある方では、細気管支炎や肺炎などを引き起こすことがあります。
大人や高齢者にも危険な感染症

RSウイルスは、決して子どもだけの感染症ではありません。健康な成人では軽い風邪症状で済むことが多い一方、高齢者では肺炎を発症し、入院が必要になるケースもあります。
特に注意したいのが、次のような方です。
- 高齢の方
- 気管支喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)のある方
- 慢性の心臓病がある方
- 免疫機能が低下している方
呼吸器内科の立場から特にお伝えしたいのは、RSウイルス感染症が喘息やCOPDを悪化させるきっかけにもなるという点です。もともと気道に炎症や障害のある方では、ウイルス感染を契機に咳や痰、息切れが急激に悪化することがあります。また、高齢者では症状だけでインフルエンザや新型コロナウイルス感染症などと区別することは困難です。「ただの風邪だろう」と考えていたら、実は肺炎を起こしていた、ということもあります。
持病のある方で咳や息苦しさが普段より強くなった場合には、早めに医療機関へ相談してください。
RSウイルスはどのように感染する?

主な感染経路は、飛沫感染と接触感染です。感染した人の咳やくしゃみから出た飛沫を吸い込んだり、ウイルスが付着した手や物を介したりして感染します。
注意したいのは、大人が軽い風邪だと思っている間に、家庭内で赤ちゃんや高齢者に感染を広げてしまう可能性があることです。予防の基本は、石けんによる手洗い、手指衛生、咳エチケットです。呼吸器症状がある場合には、適切なマスクの使用や、重症化リスクの高い方との濃厚な接触を避けることも大切です。
RSウイルスのワクチンはある?

以前は一般的な感染対策が予防の中心でしたが、現在はワクチンや抗体製剤による重症化予防も可能になっています。日本では2026年4月から、妊婦を対象としたRSウイルス母子免疫ワクチンの定期接種が始まりました。
妊娠28週0日から36週6日までの妊婦が対象で、母親の体内で作られた抗体が胎盤を通じて赤ちゃんに移行し、出生後のRSウイルスによる重い呼吸器感染症を予防します。
また、成人についても、60歳以上の方などを対象としたRSウイルスワクチンが承認されています。製剤によって対象年齢や接種条件が異なるため、接種を希望する場合は医療機関で相談してください。さらに、乳幼児の重症化予防には、対象条件に応じて抗RSウイルス抗体製剤が使用される場合もあります。
感染した場合の治療と受診の目安
RSウイルスそのものを直接治す、一般的に使用可能な特効薬はなく、治療は症状を和らげる対症療法が中心です。
軽症であれば水分補給や休養などで自然に回復しますが、呼吸状態が悪化した場合には、酸素投与や点滴、入院による呼吸管理が必要になることがあります。
なお、RSウイルスはウイルス感染症なので、抗菌薬はウイルスそのものには効果がありません。
次のような症状がある場合には、早めに医療機関へ相談してください。
- 咳が徐々に強くなる、呼吸が速くなる
- ゼーゼー、ヒューヒューという呼吸音が目立つ
- 息を吸うたびに胸やみぞおちがへこむ
- ミルクや水分が十分にとれない
- 普段より息切れが強い、呼吸が苦しい
- 元気がなく、ぐったりしている
特に、唇が青紫色になる、呼吸が止まる、反応が悪い、強い呼吸困難がある場合には、救急受診が必要です。
まとめ:RSウイルスは全年齢で注意したい感染症
RSウイルスそのものを直接治す、一般的に使用可能な特効薬はなく、治療は症状を和らげる対症療法が中心です。
軽症であれば水分補給や休養などで自然に回復しますが、呼吸状態が悪化した場合には、酸素投与や点滴、入院による呼吸管理が必要になることがあります。
なお、RSウイルスはウイルス感染症なので、抗菌薬はウイルスそのものには効果がありません。
次のような症状がある場合には、早めに医療機関へ相談してください。
- 咳が徐々に強くなる、呼吸が速くなる
- ゼーゼー、ヒューヒューという呼吸音が目立つ
- 息を吸うたびに胸やみぞおちがへこむ
- ミルクや水分が十分にとれない
- 普段より息切れが強い、呼吸が苦しい
- 元気がなく、ぐったりしている
特に、唇が青紫色になる、呼吸が止まる、反応が悪い、強い呼吸困難がある場合には、救急受診が必要です。
