院長コラム

Director's column

チャンピックス再始動──禁煙の切り札が戻ってくる今!

タバコをやめたいと思ったことがある人は,決して少なくありません。

健康のため,お金のため,家族のため,あるいは「このままではよくない気がする」そんな漠然とした違和感からスタートした人もいます。
しかし「やめたい」と思うことと,「やめ続ける」ことの間には,大きな壁があります。

タバコは習慣であり,同時に依存でもあるからです。ここ数年,実は日本の禁煙治療には空白の時間がありました。
高い有効性が証明されていた禁煙補助薬であるチャンピックス(一般名:バレニクリン酒石酸塩)が,2021年の出荷停止以降,使えない期間が続いていたためです。医療現場でも「チャンピックスがあればなぁ」というケースは確かに存在しました。

そして2025年10月,製造工程の見直しを経て,チャンピックスが正式に再出荷されました。
禁煙外来をおこなう草ヶ谷医院としても,これは非常に大きなニュースです。なぜなら,チャンピックスは「効くと信じられている薬」ではなく,「科学で効果が証明された薬」だからです。

チャンピックスは何がすごいの?

タバコを吸うと,たばこに含まれるニコチンが体内に入ります。取り込まれたニコチンは血流にのって脳までたどりつき,脳にある「ニコチン受容体」に結合します。するとドパミンという快感物質が放出されます。このドパミンによる快感が「タバコっておいしい!」「ストレスが減る!」という感覚につながるわけです。そしてやがて依存を生みます。チャンピックスは,この仕組みに二方向から働きかけます。

 ① 吸っても満足できない体にする

チャンピックスは,ニコチンより強く受容体に結合するため,タバコを吸っても快感が起きにくくなります。「吸ったのにおいしくない」これは禁煙の大きな追い風になります。

 ② 吸わなくてもイライラしにくくする

同時に,受容体を軽く刺激し,少量のドパミンを放出させます。
これにより自力禁煙で問題になりやすい離脱症状や強い吸いたい欲が和らぎます。

つまり,「吸っても満足しない」「吸わなくてもつらくない」

という状態をつくるわけです。この二方向からの作用がチャンピックス最大の特徴です。

 

科学が示す禁煙成功率

臨床試験では,禁煙成功を持続禁煙率で評価します。

▼ 国内試験(日本)

第9〜12週の持続禁煙率は65.4% vs プラセボ39.5%
さらに1年維持でも34.6% vs 23.3%と有意に高い結果でした。

▼ 海外試験

第9〜12週の持続禁煙率は約44% vs 17.7%
国が変わっても一貫して効果が確認されています。

▼ 維持療法の試験

初回禁煙に成功した人に,さらに12週間投与すると70.6% vs 49.8%
1年維持でも44.0% vs 37.1%
禁煙の最大の壁である「続けること」に対しても強いデータがあります。さらに,世界中の研究を丁寧に集め,質の高いものだけを選んで分析する国際的な医学レビューである「コクランレビュー」では,バレニクリンが世界で最も禁煙効果が高い治療法の一つと評価されています。

■ 草ヶ谷医院流「禁煙を成功に近づける5つのコツ」

薬だけでは禁煙は完成しません。特にチャンピックスやニコチンパッチを使っていても,どうしても吸いたくなる瞬間は必ず来ます。そこで大事になるのが日常の工夫です。

① 喫煙にまつわるものを全部捨てる

灰皿,ライター,古いタバコ……もう使わないから,もったいなくありません。視界から消えるだけで成功率が上がります。

② 家族やパートナー,信頼できる人にヘルプを求める

「ちょっと本気で協力してほしい」少し真面目なテンションで伝えることが大事です。
人は,自分だけではなく誰かの存在で踏ん張れる瞬間があります。

③ いつもの喫煙ルーチンを避ける

つい寄ってしまうコンビニで缶コーヒーと一緒に買ってしまうタバコ。飲み会ですすめられてついつい吸ってしまう。喫煙者だらけの休憩室・・。これらは全て「スイッチ」です。
ルート変更や参加回避も立派な作戦です。

④ 吸いたくなったら,まず5分

飴でも,YouTubeでも,インスタでも,散歩でも構いません。なにか気分転換をする取り組みをしてみてください。衝動は波なので,5分もすぎればピークを越えてひいていきます。

⑤ そして最後に「目的」

ここが最重要です。

■ 禁煙には揺るがない「目的」が必要!

禁煙中に必ず訪れる瞬間があります。雨の日,仕事で疲れた夜,友人が吸っている横。そんなとき,どうしても吸いたくなった時に,この質問にたちかえってほしいのです。

「私ってなんで禁煙しようとしたんだっけ?」

ここで答えを取り戻せるかどうかが分岐点です。

・家族の笑顔を守りたい
・病気の再発を防ぎたい
・孫の成長を見届けたい
・もう苦しくて階段を登りたくない
・タバコに支配された人生を終わらせたい

どんな理由でも構いません。しかし自分で選んだ目的だけが,人を踏ん張らせます。

禁煙とは,肺を守るだけではなく,おおげさにいえば自分の人生を取り戻す作業なのです。

■ 草ヶ谷医院からのメッセージ

意志が弱いからやめられないのではありません。ニコチンが強すぎるだけです。

だからこそ,道具や薬をつかったり,周りのだれかに頼ったり,何度も挑戦したり,とにかく行動してみましょう。

もし今,禁煙を考えているならそれはもう第一歩を踏み出しています。

草ヶ谷医院は「やめたい」とあなたが思ってくれれば,その瞬間から全力サポートします。

 

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大石 敏弘医師
プロフィール

清水第八中学校、清水東高等学校を卒業後、浜松医大医学部に進学。

大学卒業後は、 静岡済生会病院、浜松医療センター、浜松医科大学医学部附属病院、島田市立総合医療センターを経て、再び現在静岡済生会病院にて地域医療に携わる。

糖尿病や甲状腺、高血圧・脂質異常症などの生活習慣病を専門とし、患者一人ひとりのライフスタイルに合わせた実践的な治療方針を重視している。

現在は当院に非常勤、そして静岡済生会内分泌科として勤務し、日々の診療にあたっている。

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