院長コラム
Director's column
タバコ1本で寿命20分?最新研究が示した喫煙の影響
タバコが健康に悪いことは、多くの方がわかっていることですよね。でも「タバコ1本」がいったい寿命にどれほどの影響があるのか?具体的に考えたことがある方は少ないのではないでしょうか。
2025年に海外の医学雑誌 Addiction に掲載された研究では、喫煙による寿命への影響を分かりやすく表す試みとして、「タバコ1本あたりの寿命への影響」が計算されました。
その結果、平均するとタバコ1本で約20分の寿命が失われる可能性があると報告されています。男性で約17分、女性で約22分と計算されています。
Q.どうやって計算したの?
この数字は単なる印象や推測ではありません。イギリスで長年行われてきた大規模な疫学研究のデータが用いられています。
イギリスの男性医師を何十年も追跡した研究や、100万人以上の女性を対象とした大規模研究などから、タバコを吸う人は、吸わない人に比べて平均で約10〜11年寿命が短いことが分かっています。研究者は、この「寿命の差」と「生涯に吸うタバコの本数」のデータを組み合わせて計算して、タバコ1本あたりがどれくらい寿命へ影響するかを推測しました。その結果が「約20分」という数字になったのです。
もちろんこれはあくまで平均値です。すべての人が同じ影響を受けるわけではありません。タバコを吸ってきた年数、1日に吸う本数や、タバコの吸い方が異なるだけでなく、さらに吸う人の体質などによって健康への影響は大きく異なります。しかしタバコが健康に与える影響が非常に大きいことは、世界中の研究で一貫して示されています。
Q.タバコをすうと、健康な時間がへる?
すこし面白い点としては、喫煙は人生の最後の期間だけを短くするわけではないということです。むしろ削られるのは、比較的元気に活動できるはずだった時間だと考えられています。
この研究では、タバコを吸う60歳の人の健康状態は、タバコを吸わない70歳の人に近いとも報告されています。つまりタバコは、寿命だけでなく、健康寿命にも影響する可能性があるということです。
同じ60歳なのに、健康状態は70歳になっている・・・そう考えると、元気な時間をずいぶん損している気分になりませんか?
Q.単純にタバコを減らせばいいわけじゃないみたい!
「それなら本数を減らせばいいじゃん!」と考える方もいるかもしれません。しかし研究では、単純に本数を減らすだけでは健康への悪影響が十分に減らない可能性も指摘されています。
タバコを吸う人は、吸う本数を減らすと、残ったタバコをより深く吸ったり長く吸ったりすることがあり、その結果、体に入る有害物質の量が思ったほど減らない場合があるためです。健康への影響を最も減らす方法は、やはり完全に禁煙することだと考えられています。
Q.じゃ、どうすればいいの?

一方で良いニュースもあります。喫煙による健康への影響は累積的であり、禁煙することでそのダメージの蓄積を止めることができます。
研究の計算では、例えば1日10本吸う人が禁煙した場合、1週間ほどで1日分の寿命の損失を防ぐことができ、1年では約50日分の寿命を守れる可能性があるとされています。禁煙は何歳からでも健康にメリットがあると考えられています。
喫煙は肺がんやCOPDだけでなく、心臓や血管の病気など多くの疾患のリスクを高めます。もし禁煙を考えている方は、一人で悩まず医療機関の禁煙外来を利用することで成功率を高めることができます。草ヶ谷医院でも禁煙のご相談を受け付けています。気になる方は、どうぞお気軽にご相談ください。


