院長コラム

Director's column

ながびく咳(慢性咳嗽)

ながびく咳で自分は大変な思いをしているのに、咳が出ないタイミングでは元気なので周りの人からはあまり心配もされづらく、仕事や家事も休ませてもらない・・・。とくにコロナ禍では嫌な顔をされることもある・・・。そんな症状で困ってはいませんか?

風邪をひいたあと妙に長く続く咳、季節の変わり目に毎年続く咳、鼻づまり症状と一緒に現れる咳など、一言で「ながびくせき」も実はいろいろな種類の病気が隠れています。ときに怖い病気もみつかります。医学的には3週間以内の咳は急性咳嗽、3-8週で遷延性咳嗽、8週以上継続する咳を慢性咳嗽といいます。

慢性咳嗽の診断

咳の診断で最も重要なのは、咳の原因として肺がんや肺結核、肺炎、間質性肺炎、心不全などの重篤な病気を除外することです。4週間以上つづく遷延性、慢性咳嗽では、まずは胸部X線写真でこれらを除外することが重要です。その上で咳の原因の診断となります。

咳の診断には病歴(問診)が非常に重要です。日頃の生活や仕事場での様子、咳の出る時間やタイミングなど細かく確認させてください。その情報をもとに検査を加え、初回の薬に対する改善の程度をみて原因を診断します。

慢性咳嗽の中でも多くを占めるのが、咳喘息、副鼻腔気管支症候群、胃食道逆流、アトピー咳嗽、そのほか心因性咳嗽などです。

当初は咳喘息を第一に考えながら治療の反応をみていた結果、最終的に胃食道逆流に気づくといったこともあります。簡単には治らない咳もときに経験します。それでも何とか患者さんの生活の質があがるように、草ヶ谷医院では一緒に頭を悩ます準備をしています。

■咳喘息

一般的な気管支喘息の仲間で、とくに咳症状がメインの喘息です。長引く咳の中で、実は半分以上を占める主役がこの咳喘息です。

喘息と同じように、空気の通り道の粘膜が慢性的に赤く腫れ、炎症をおこし敏感になっていることで咳が生じます。日焼けのような軽いやけどを起こしているようなイメージが分かりやすいかもしれません。

喘息の初期症状と考えられていますが、喘息とはことなり喘鳴(ヒューヒューいう音)が生じないのが特徴です。季節の変わり目や風邪をひいた後などに咳だけが残って気づくことが多いです。思い当たりませんか?

・咳喘息の診断

問診がとても大切です。咳喘息を疑ったら、呼気一酸化窒素濃度測定や呼吸機能検査が重要です。一般的な採血や胸部レントゲンでは正常範囲のことが多いです。咳症状のきっかけに、気づかないうちにアレルギー性物質に曝されていることが疑われるケースもあります。このときは、血液検査での原因物質(アレルゲン)の検索が役立つことがあります。

・咳喘息の治療

初期にきちんとした喘息治療を行うことにより、本格的な喘息への移行を防ぐことが可能と考えられています。

放置すると、30%の方は典型的な気管支喘息に移行してしまいます。本当は数か月の治療が必要ですが、患者さんは症状が良くなると治療をやめてしまう方も少なくありません。

また季節の変わり目や風邪を引いた後などに症状がぶり返すことも多いです。

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